

「にんぎょひめ」は千秋にとって代表的な童画のモチーフ。
『小学館の幼稚園』1960年[昭和35]9月号を皮切りに、1967年[昭和42]『小学二年生』、1968年[昭和43]『小学館の絵本アンデルセンの名作』(翌年、『世界の童話22アンデルセンの絵話』として刊行)、1971年[昭和46]「小学館の幼稚園」と発表を重ねました。千秋が描く人魚をよく見ると、腰からひれが出ているのがわかります。
人間の王子様に恋をして、声を失い、果ては海の泡となって消えてしまう人魚姫の物語を、千秋は透明水彩絵の具を用いて、繊細で可憐なタッチで描き、しっとりと物語の余韻まで味わえる世界観を築きました。